新聞等に掲載された記事を要約して表示しています。

府南部、人口急増で課税評価遅れる  新築建物から税徴収出来ず

職員増望めず“八方ふさがり”  <点検きょうと>

                       毎日新聞  2001年4月22日

 

 人口が急増している府南部で新築マンションや店舗などに対する課税評価作業が追い付かず、不動産取得税(府税)や固定資産税(市町村税)が徴収できない異常状態が続いている。京田辺市だけでも、1997年度以降の新築建築物35件、40億7000万円相当(課税標準額の概算、3月現在)の評価ができておらず、同市の懐に入るはずの固定資産税約1億円が徴収できていない。府田辺振興局や各市の税務担当者は「何とかしなければ・・・・・」と危機感を募らせているが、職員増も望めず、“八方ふさがり”の状態だ。このままでは市民から、「きちんと税金を払っている者がバカを見る」と不満の声が上がりそうだ。【山本 泰久】

 地方税法では不動産取得税は府が、固定資産税は市町村が賦課、徴収を行う。算定の基礎となる建物評価の作業はふと市町村と出分担することを申し合わせていることが多い。田辺地方振興局管内の場合、“木造以外で、延べ床面積500平方b以上」の評価を府が担当し、その評価額を各市町が固定資産税徴収に準用している。

 しかし、ここ数年、府田辺地方振興局税務課には各市町から毎年200〜400件の評価依頼が殺到。同課は「評価担当職員が2人しかおらず、年間数百件の評価作業をこなすのは困難。府上層部に5年前から人員増を要求しているが、回答はない」と窮状を訴える。

 このため、府の評価作業が遅れ、97〜99年度で京田辺市で35件、八幡市で8件の評価算定が未了(いずれも3月現在)。不動産取得税、固定資産税の額が定まらず、徴収できないでいる。

 こうした異常事態に管内の京田辺市、八幡市、井手町、宇治田原著の各税務担当者は昨年、同振興局に「早く算定してほしい」と要請。一方府側は評価作業軽減のため、「府が評価にあたる条件に『非住宅』を加えてほしい」と、京田辺、八幡両市に作業分担の見直しを申し入れた。

 だが、これだとマンションや大規模社員寮などの評価作業は市側にのしかかり、両市は「税務課員を増やさねばならず、現在の人員削減の風潮から、実現は難しい」と難色を示している。

 地方税は5年前までさかのぼって徴収でき、不動産取得税について「まだ取りこぼしはない」(府)としている。しかし、本来、毎年徴収すべき固定資産税を何年分もさかのぼって徴収することは事実上は困難だ。

 京田辺市税務課は「府の不動産取得税は1回こっきりだが、固定資産税は毎年度のこと。評価作業が遅れれば遅れるほど、取れるはずだった税金が膨らんでいく。こちらも人員増強や申し合わせ時効の変更を検討しているが、どうなることか」と頭を抱え、解決のメドは立っていない。

 毎日新聞に「やさしい税の話」を連載している税理士の湯浦正信さん(近畿税理士会宇治支部)は「こんなことがあっていいのかと思う。『忙しい』『人員が足りない』は理由にならない。あまりにずさんだ。市民はもっと不満の声をあげるべきだ。なぜ、評価作業ができないのかを情報公開請求すればいい。府だけでなく市も、自主的に評価作業をするべきだ」と話している。

 


最新のニュース・スクラップに戻る

トップページに戻る

このページについてのご意見、お問い合せなどは
E-MAIL info@tsugita.comまでお願いします。