新聞等に掲載された記事を要約して表示しています。

ズサンな法人運営、明るみに

介護職員、実は半分が営繕職員

府が監査結果を発表 介護報酬の返還額2千万円以上に

京田辺市の特養「九十九園」 

本来不要のおむつ代も徴収−今月中に法人役員刷新

                       洛南タイムス  2002年3月20日

 

今年1月に京田辺市大住、特別養護老人ホーム「九十九園」(社会福祉法人幸生福祉会=岡本容子理事長)への実地指導・監査を実施した府は、19日、「入所者待遇や施設運営に改善すべき問題がある」との監査結果を発表した。元職員らによる告発で明るみに出た問題で、告発通り介護職員数が基準を満たしていないなど不適切待遇の実態やずさんな法人運営が確認される結果となった。府は同日、岡本理事長らに指摘文書を手渡し、過大に得ていた介護報酬の自主精算とその返還、また1ヶ月以内に改善状況を文書で報告するよう指示。府の概算によると介護報酬の返還額は2千2〜300万円以上に登るとみられている。

 府の監査結果では、改善すべき点として指導されたものは、主要なものだけで約20項目に及んでいる。

 特に特別養護老人ホーム事業では、介護職員が基準の人数を満たしていないにもかかわらず、本来は清掃業務などに携わる営業担当職員を介護職員としてカウントし介護報酬を請求していた実態が明らかになったほか、居宅サービス事業でも実際は施設の食堂で一斉に行っていたケアハウス利用者へのサービスを“ヘルパーの訪問看護”だとして介護報酬を得ていた。

 介護職員の数については、必要な人数(九十九園の場合、常勤換算で20人)のほぼ半数が営業担当職員だったという。

 過大に得ていた介護報酬については、施設側の自主点検で精算し、介護保険がスタートした2000年4月にさかのぼって返還するよう指示している。

 また短期入所事業では、本来、保険から施設側に給付されるオムツの代金を、利用者からも徴収していた疑いが浮上したほか、根拠が明らかでない共益費も利用者から徴収していたとして、これらの利用者への返還も指示。

 さらに法人運営などに関しては、理事長と施設長ら法人役員が、役員報酬と職員としての報酬を2重に受けていたほか、実際にはすでに勤務していない元職員に給与を支払い続けていたなど不適切な支出があったという。

 このほか、市などに対し元職員らが指摘していた居室の冷暖房停止についても「適温管理が不適切だと確認できた」として改善を指導しているほか、おむつ交換についても入所者それぞれの排泄状況に見合った対応を行うよう指示。

 また職員が頻繁に退職している実態についても「入所者待遇上、適切ではない」として改善を指示している。

 府保険福祉部では「調査の結果やこれまでの経緯などから、施設側を全面的に信用するには至っていない」として、改善報告書の提出後も施設の適切な運営が確保されるよう市とも連携して継続的な指導に当たるという。

 府から入所者待遇や法人運営について数々の問題点を指摘された特別養護老人ホーム「九十九園」の岡本良夫施設長(幸生福祉会理事)は、19日午後、「責任は私と理事長にある。指導を謙虚に受け止め、これから全力で改善していく。職員についても再編成し不足職員なども確保するなど、利用者により満足してもらえる介護に専念する」とコメント。

 指摘された問題点については「(介護職員は)清掃業務も重要な介護と考え、法の範囲内との認識で人員を配置してきた。不正の意図はないが、結果的に指導を受けたので従う」と。

 返還を求められた介護報酬についても「きちっと精算し全額を返す」としたほか、入所者やその家族らへの対応についても「現状をきちっと整理して説明会などを開いていきたい」と。

 また善後策として今月中に法人役員(7人)を刷新することを明らかにし、岡本容子理事長と岡本施設長の進退についても新しい役員の判断にゆだねる方針だとした。

 


最新のニュース・スクラップに戻る

トップページに戻る

このページについてのご意見、お問い合せなどは
E-MAIL info@tsugita.comまでお願いします。